漫画版『セーラー服反逆同盟』について
セーラー服反逆同盟コミックス ●『セーラー服反逆同盟』
作/二色ひとし 画/戸国美穂
『月刊少年キャプテン』1986年11月〜1987年4月号連載
少年キャプテンコミックス(全1巻) 徳間書店 1987年5月20日初版発行
漫画版『セーラー服反逆同盟』は『月刊少年キャプテン』(徳間書店)1986年11月号から1987年4月号まで 6回に渡って掲載されました。これがドラマの原作だったわけではなく、タイアップ企画により同時並行で連載されていた模様です。 ドラマ版のシナリオも執筆している二色ひとしが原作を書き、戸国美穂(水縞とおる)が作画を担当しています。 連載終了直後に徳間書店の少年キャプテンコミックス、後には大都社のスターコミックス(1992年)でも発行されましたが、どちらも現在は絶版です。 ここでは主にドラマ版との内容の違いを中心に紹介したいと思います。(※ネタバレあり)
★基本設定の相違

漫画版『セーラー服反逆同盟』は設定、ストーリーともにドラマ版とはかなり異なっています。 まず主だったキャラクター上の違いをまとめておきます。
 ドラマ版漫画版
ユミ・福岡県立大隈高校から転校して来た・福岡県立天神高校から転校して来た
・武器は鎖付き革手袋素手で戦う
ルリ・標準語で話す関西弁で話す
・体操部だった(尤も実際にそんな描写は出て来ませんでしたが^^;)陸上部だった
・武器は大針を仕込んだ棒状のもの・武器はシャープペン状になっている
・決め台詞は「闇の中で、のさばり続ける悪党ども」・決め台詞は「闇にのさばり続ける悪党ども」
ケイ・恋人はいない・葉室真吾(四天王の1人)という恋人がいる
・決め台詞は「てめえらのようなワルは許せねェ」・決め台詞は「てめえらのようなワルは許ねェ」
ミホ・姓は山縣(山県)・姓は山形
・反逆同盟を影から助け後に加盟する戦うことはない
その他・反逆同盟は戦闘時にケバいメイクとカツラで変装・戦闘時にも殆んど素顔
・校長に特定の手下はいない・校長には「四天王」という手下がいる
・理事長は病身で車椅子姿・理事長はすこぶる元気(笑)である
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(上)ルリはショートカットで、ケイはドラマのようにお下げにはしていません。また、ドラマの生真面目な仙道敦子さんと異なり漫画でのユミは結構天然ボケの飄々としたキャラです。
(右)戦闘時のユミ。顔は全くノーメイク、左手にメリケンサック?のようなものをつけてはいますが、ドラマのような明確な武器にはなっていません。
★ストーリー

Part1 黒い学園
黒鳥学園高等学校2年A組に転入してきた高坂ユミ。合田雄太の隣の席に座ると早速クラスのワルが絡んでくる。 しかし、その手を軽く払っただけで骨折させ、見ていたルリ、ケイを驚かせる。その晩、「雄太は預かった 十二時までに学園に来い」と言う手紙がユミに届く。 屋上で待っていたのはルリとケイだった。2人はユミに挑みかかるがあっさり負けてしまう。 雄太をおとりに呼び出しをかけたのは、実はユミを試すための芝居だった。ルリたちは学園改革の仲間に入るように頼むが、 ユミは拒否する。そこへ生徒会指導部長の大橋が現れ、雄太が捕われ反省房に送り込まれる。 雄太を取り戻すためユミは仲間に加わり「セーラー服反逆同盟」を結成、大橋たちに制裁を加えた。
と言うわけで、漫画版には牧野先生こそ出てきませんが、反逆同盟結成までの経緯に関してはドラマ版とほぼ同じです。

Part2 謎の女教師
黒鳥学園に美人数学教師・池原セリカが赴任して来た。学園の管理体制に不満を持ち学園を立て直そうとするセリカに 雄太とケイはすっかりのぼせ上がる。その晩、何者かに生徒たちが暴行され更にユミも襲われる。その犯人はセリカだった。
池原セリカはドラマ版のケーシー片岡とオードリーと逆刀京二を組み合わせたような役割になっています。

Part3 失われた過去
池原セリカは反逆同盟のメンバーを探るため校長に雇われた学園側のスパイだった。ユミたちはセリカを待ち伏せして制裁する。
ユミ、ルリ、ケイの三人は、それぞれお互いの過去を打ち明ける。子供の頃母親に殺されかけたユミは、母の行方を知るため その母校である黒鳥学園にやって来たのだ。ルリは数々の記録を持つ陸上の選手だったが、事故で断念。 実はその事故が反抗的なルリに対して学園が仕組んだものだったと知り復讐を誓った。 そしてケイは、恋人の葉室真吾が学園のワナにはめられ少年院送りにされていたのだ。
その頃、校長はセリカの作成したリストを元に、反逆者を探し出して始末するよう「四天王」に命ずる。 四天王の中には少年院から戻ってきた葉室真吾の姿もあった。
ユミの過去、目的はドラマ版ではルリたちに最後まで伏せられていましたが、 漫画版では途中で明かされています。また、併せてドラマ版では表に出て来なかったルリ、ケイの過去も語られます。

Part4 悪党狩り
理事長が学園に訪れ、校長たちに親からもっと金を巻き上げるよう命ずる。 理事長は、「合格塾」と言う超エリート塾を経営して洗脳した生徒たちを政財界に送り込む一方、 黒鳥学園を乗っ取り従順で腕力のある用心棒を育てて各界に送り出し、その両者によって日本を支配しようとするのが真の目的だった。
翌日、四天王は学園にたてをつく生徒たちを容赦なく反省房に送り込み始める。その中に葉室の姿があるのを見たケイは驚く。 ケイは、なぜ校長の手先になっているのか問いただすが葉室は答えない。その夜、反省房に入れられていた生徒が腹痛を起こし、更に暴力教師佐伯に蹴られて死亡する。 事件の詰め腹を切らされクビになった佐伯を反逆同盟が制裁した上、学園の不正を暴露した記事を校内に貼り出す。
校長の配下「四天王」、更に葉室真吾というケイの元恋人が登場し、ドラマ版とはかなり異なった展開を見せています。

Part5 怒りのXデー
反逆同盟に同調し、全生徒が決起して学園に反旗を翻すXデーが訪れた。 事前に察知した四天王と学園側は巨大な鉄の扉で学園を封鎖した上、ヤクザの卒業生を使って生徒たちを追いつめる。 しかし反逆同盟と生徒たちに逆襲され、校長と四天王は地下に逃げ込む。
ドラマ版では生徒たちの反乱はあっさり鎮圧されてしまいましたが、漫画版では反逆同盟と共に立ち上がり勝利を収めます。

Part6 追いつめる
地下室で校長と四天王と対峙する反逆同盟。その時、四天王は校長の隙を見てコンピューターからフロッピーを抜き獲る。 実は葉室たち四天王は校長側の手先になったと見せかけ、理事長の陰謀の証拠を手に入れる機会を窺っていたのだ。 校長の口から、母親の秘密を山形理事長が知っていると聞いたユミは、理事長室に突入する。そこで明かされた、過去の秘密と 加寿子の行方とは・・・
かつて山形は、富と権力のため山形財閥の娘と結婚しながら、その親友である加寿子に思いを寄せ 強引に手に入れようとしていた。加寿子は山形を嫌って他の男と駆け落ち。しかし その夫が不慮の事故で死亡し、ノイローゼになった加寿子はユミを殺して無理心中を図った。山形に連れ去られた 加寿子は、以来ショックのため記憶を失い病院で生ける屍となっていたのだ・・・。
真相を知って怒りに燃えるユミは山形に鉄拳を浴びせる。と、そこへ山形の娘ミホが現れ、報道機関が押し寄せ学園の不正を記録したフロッピーは警察の手に渡ったと告げる。 その手配をしたのはミホ自身だった。ミホは父親の悪事を人間として許せなくなったのだ。
・・・かくして学園は正常化され、数日後ユミは回復の兆しを見せ始めた母・加寿子を見舞うため明るい表情で病院に向かうのだった。(おわり)
というわけで、ドラマ版では理事長夫人になっていたユミの母・加寿子こそが真の黒幕でしたが、 漫画版ではあくまで理事長が黒幕であり加寿子は犠牲者です。また、ドラマ版ではうやむやに終っていた、加寿子がユミを殺そうとした理由が、 漫画版ではきちんと説明されています。一方、理事長の娘ミホはドラマ以上に登場場面が少なく、漫画版では影が薄いです (勿論バラも投げません^^;)。
作品全体として見た場合、漫画版は分量に制限があるため展開が駆け足で話に膨らみが欠けるのが 惜しまれます。しかしドラマ版とはまた違った味の面白さもあるので一読の価値はあるでしょう。
セーラー服反逆同盟 山本理沙メモリーズ






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